概要
オーストラリアとヨーロッパの企業がクリーン水素ビジネスから撤退する動きが増加している。
その背景には需要予測の難しさがあり、特に米国のトランプ政権が液化天然ガス(LNG)の輸出拡大を目指していることが影響している。
水素は燃焼時に二酸化炭素を排出しないため、脱炭素化において重要な役割を果たすと期待されていたが、現在は逆風に直面している。
オーストラリアのクイーンズランド州政府は、州営電力会社からの10億豪ドル以上の追加投資要請を拒否した。
このプロジェクトは再生可能エネルギーを用いて水を分解して生成されるグリーン水素を扱っており、日本への輸出計画も含まれている。
しかし、関西電力がプロジェクトから撤退したため、計画自体が中止される可能性がある。
オーストラリア政府は水素産業の促進に注力しているが、主要電力会社のオリジン・エナジーが昨年秋に水素プロジェクトを中止した。
ヨーロッパの企業も水素プロジェクトに対して慎重になっており、フィンランドのネステ社やスペインのレプソル社が計画を凍結または撤退している。
国際エネルギー機関によれば、2023年のクリーン水素需要は100万トンに達し、2030年には600万トンに拡大する可能性があるが、実際の契約量は生産能力の6%に過ぎない。
政府は脱炭素化の流れが続くと仮定して水素生産を支援しているが、トランプ政権がパリ協定からの撤退を予告しているため、化石燃料の生産増加が懸念されている。
水素供給コストが石油やLNGより高いため、需要が安定的に増加するか疑問視されている。
川崎重工業などが推進していたオーストラリアから日本への液化水素輸送計画も、実証実験中に中止された。
このようなビジネス環境の変化により、日本は水素戦略の見直しを迫られる可能性がある。
ポイント
- オーストラリアと欧州企業がクリーン水素事業から撤退する動きが増加中。
- 需要予測の困難さが背景にあり、特に米国のLNG輸出拡大が影響。
- 日本は水素戦略の見直しを迫られる可能性が高まっている。
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