経済

新紙幣発行から1年、流通率は約30%にとどまる

概要

2024年7月に新たな日本銀行券が発行されてから1年が経過しましたが、流通している紙幣の約30%しか新券に置き換わっていません。

鉄道の自動券売機はほぼ全てが新券に対応していますが、飲料の自動販売機では50%から60%程度の対応率にとどまっています。

これは、2004年に発行された前回の新券が流通枚数の61.1%を占めていたのと比較して低い数字です。

この遅れの一因として、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済の普及が挙げられます。

2024年のキャッシュレス決済比率は42.8%で、10年前の2.5倍に増加しています。

また、低金利政策により、家庭で現金を保管する人が増え、古い紙幣の劣化が少なくなっています。

2024年末時点で流通している紙幣の枚数は約170億枚で、2004年末の約110億枚から増加しています。

埼玉県深谷市では、新1万円札の肖像である渋沢栄一を祝うイベントが開催され、多くの来場者が新券やQRコード決済を利用していました。

一方で、システム障害や災害時には現金が必要となる場面もあり、新券の導入は現金需要の維持にも寄与しています。

NLIリサーチの上野剛志上級エコノミストは、「現金の使用機会は減少するが、社会の一部として残り続けるだろう」と述べています。

ポイント

  1. 新紙幣導入1年で流通量は約30%にとどまり、普及が遅れている。
  2. キャッシュレス決済の普及により、現金使用が減少し、現金需要が低下。
  3. 新紙幣の高い偽造防止機能が、現金需要の維持に寄与している。

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