概要
英国のスーパー市場で、ディスカウントチェーンのLidlが売上を伸ばし、Morrisonsを抜き去って5番目の規模になる日も近づいている。
Lidlの3ヶ月間の売上は10.7%増加し、市場シェアは8.3%となり、Morrisonsの8.4%に0.1ポイント差まで迫っている。
一方、Morrisonsは2021年の7兆円規模の買収後に負債を抱え、売上もわずか0.9%増と苦戦を続けている。
英国最大の小売業者Tescoは7.4%の成長を記録し、市場シェアは28.4%に達し、他の追随を許さない状況だ。
Sainsbury’sは5.2%の増加ながら15%の市場シェアを維持し、2位との差は大きい。
その一方、3位のAsdaは売上が2.6%減少し、回復途中ながら苦戦を続けており、Aldiは1ポイント差の10.8%に迫っている。
Aldiも4.8%の売上増加を背景に、積極的に新店舗を開設し、伝統的な「ビッグ4」の市場構造を揺るがしている。
LidlとAldiの店舗拡大は、英国のスーパー上位層入りを目指し、既存の大手にとって競争圧力となっている。
一方、全体の食品価格上昇は鈍化しており、8月のインフレ率は5.2%から5%に低下したが、イギリスの賞味期限の長い品や高級品の売上は堅調に推移している。
こうした動きは、消費者が実店舗の支出や外食の縮小を背景に、自宅での買い物や高級ブランド品への支出にシフトしていることを示している。
特に、外出飲食の減少とともに、ブランド品やプレミアム商品への関心が高まり、市場の多様化と消費行動の変化が見られる。
これらの景況感は、秋の予算編成に向けて、物価の高止まりとそれに対する消費者の対応を見極める上で重要な指標となる。
ポイント
- Lidlが売上増加により英国第5位のスーパーに迫る、Morrisonsに接近。
- 最大手のTescoは市場シェア28.4%で圧倒、他の競合も一定成長を維持。
- インフレ鈍化や消費者の行動変化により、外食より家庭内購買が増加傾向。